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体と心をいやす薬品だった芳香蒸留水―アロマの不思議2

2019.3.8

ネロリの花

東京ビッグサイト等の国際的な展示会で、卓上蒸留器を使って甘夏ネロリの蒸留実演をする機会がときどきありますが、そんなとき朝から必ず私たちのブースにやって来るのが、アラブ系の人たちです。

「ちょっと胃の調子が悪いから」とか「昨晩、食べ過ぎたから」とか言いながら、キャップ1杯くらいの蒸留したての甘夏ネロリの芳香蒸留水を飲んでいくのです。 彼らの母国では、幼い頃からそうやって体調が悪いときに、あるいは病気の予防に、家庭で作ったネロリウォーターを飲んでいたそうです。

ネロリに限らず、はるか昔より植物の自然な香りを含んだ芳香蒸留水は人びとにとって貴重な薬でした。現在のネロリの産地、北アフリカでは、今も春になると各家庭でビターオレンジの花の蒸留が行われていて、傷薬や胃薬また様々な抗菌剤として利用されているのです。
そして今も家庭で利用しているアラブ諸国だけでなく、ヨーロッパ各地ではでは19世紀まで様々な芳香蒸留水が薬品として使われていました。
18世紀にまとめられたフランスの薬学大全には、200種類以上の芳香蒸留水が薬品として登録されていたことが確認されています。

でも現在はたったの2種類。

「これは本物だ!」とアラブの人たちが歓声をあげる甘夏ネロリウォーターが、芳香蒸留水の価値を再び広めるきかっけになることを願っています。